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うどん屋にいる。客が多かったせいもあり、ボクは、店の奥、店内を見渡せるコーナーの席に案内されて座っている。タッチパネルでごぼう天うどんを注文した。隣の席では、高齢者の女性3人が、タッチパネルの操作方法に難儀していた。
そんな時、入口の方でなんやら騒ぎが始まった。店員が目で何かを追っかけている。何者かが店内に侵入してきたようだ。ボクも店員の視点の先に目をやる。何かが飛んでいる。視力の悪いボクにはまだ何者か特定できない。動きが早いから蝶ではないようだ。
更に何者かは、更に店内に入ってきた様子で、女性客が頭を下げる。子どもは「キャッ」と小さな声を出している。
わかった。蜂だ。大きい。早い。いかにも蜂だぞというように黄色に黒いストライプが入っている。数人のスタッフは、目で追うばかりで成すすべもない。
そんな時、厨房から頭にはブルーのキャップをかぶり、白いエプロンをつけたいかにも頼りがいのあるお母さんが現れた。店内での騒ぎを聞きつけて、この騒ぎを止めるべく出てきたのだ。手には白いダスターを数枚重ねたものを持っているようだ。
「飛んでいるうちは無理。停まって」という声が聞こえた。素早かった。蜂が停まった瞬間に、女性の手は伸び蜂を捕まえたようだ。女性は、客に頭をさげ「お騒がせしました」と去っていく。
数人の客が拍手した。約2分間の出来事だ。
しかし、蜂よ。店に入ってこなければ、命を取られることもなかったのに。とも残念に思った。